税務・確定申告 公開: 2025.01.15
損益通算のルール|赤字を活かす確定申告
損益通算とは
損益通算とは、特定の所得の赤字を他の所得の黒字と相殺できる制度です。
4年償却投資では、減価償却費により不動産所得が赤字になり、この赤字を給与所得と損益通算することで節税効果を得ます。
損益通算できる所得
対象となる所得(赤字)
| 所得の種類 | 損益通算 |
|---|---|
| 不動産所得 | ○ |
| 事業所得 | ○ |
| 山林所得 | ○ |
| 譲渡所得 | ○ |
対象とならない所得(赤字)
| 所得の種類 | 損益通算 |
|---|---|
| 給与所得 | × |
| 退職所得 | × |
| 利子所得 | × |
| 配当所得 | × |
| 雑所得 | × |
| 一時所得 | × |
損益通算の順序
損益通算には順序があり、以下の手順で行います。
ステップ1:同じグループ内で通算
経常所得グループ
- 不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得など
譲渡・一時所得グループ
- 譲渡所得、一時所得
まず同じグループ内で損益通算します。
ステップ2:グループ間で通算
グループ内で通算しきれなかった赤字を、他のグループの黒字と通算します。
ステップ3:山林所得・退職所得との通算
それでも残った赤字は、山林所得・退職所得と通算します。
不動産所得の損益通算ルール
基本的な考え方
不動産所得の赤字は、給与所得など他の所得と損益通算できます。
給与所得:1,500万円
不動産所得:▲500万円
課税所得:1,000万円
土地利子の除外
不動産所得の赤字のうち、「土地取得のための借入金利子」は損益通算から除外されます。
計算例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 不動産所得(赤字) | ▲600万円 |
| うち土地の借入金利子 | 100万円 |
| 損益通算できる金額 | ▲500万円 |
土地利子の計算
土地と建物を一括で購入した場合、借入金利子を土地分と建物分に按分します。
土地の借入金利子 = 総借入金利子 × 土地価格 ÷ 総借入額
損益通算のシミュレーション
前提条件
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 給与収入 | 2,500万円 |
| 給与所得控除後 | 2,255万円 |
| 不動産収入 | 500万円 |
| 減価償却費 | 1,000万円 |
| その他経費 | 200万円 |
| 土地の借入金利子 | 50万円 |
計算
不動産所得
500万円 − 1,000万円 − 200万円 = ▲700万円
損益通算できる金額
▲700万円 + 50万円(土地利子除外)= ▲650万円
損益通算後の所得
2,255万円 − 650万円 = 1,605万円
節税効果
| 項目 | 損益通算なし | 損益通算あり |
|---|---|---|
| 課税所得 | 2,255万円 | 1,605万円 |
| 所得税(税率40%として) | 約650万円 | 約400万円 |
| 節税額 | - | 約250万円 |
純損失の繰越控除
青色申告者の特典
損益通算してもなお赤字が残る場合、青色申告者は翌年以降3年間繰り越すことができます。
1年目:不動産所得▲1,000万円、給与所得800万円
→ 損益通算後も▲200万円の純損失
→ 翌年に繰越
2年目:給与所得800万円 − 繰越損失200万円 = 600万円
→ 節税効果
繰越の条件
- 青色申告であること
- 損失が生じた年から連続して確定申告していること
- 確定申告書に繰越損失の金額を記載
注意点
1. 土地利子の除外を忘れずに
土地の借入金利子を含めて損益通算すると、過少申告になります。
2. 過度な節税は否認リスク
実質的に節税目的のみの不動産投資は、税務調査で否認されるリスクがあります。
3. 将来の黒字化を考慮
4年償却終了後は不動産所得が黒字化し、税負担が増えます。
まとめ
- 損益通算は不動産所得の赤字を給与所得と相殺できる制度
- 土地取得のための借入金利子は損益通算から除外
- 通算しきれない損失は3年間繰り越し可能(青色申告)
- 4年償却投資の節税効果は主に損益通算によるもの
- 土地利子の按分計算を正確に行うことが重要
損益通算は4年償却投資の核心部分です。正確な計算のために、税理士への相談をおすすめします。


