融資・資金計画 公開: 2025.01.15
投資シミュレーションの作り方|収支計画書の書き方
収支シミュレーションの重要性
収支シミュレーションとは、物件購入から運営、売却までの収支を予測する計算のことです。
不動産投資の成否を左右する重要な作業であり、融資審査でも重視されます。
基本的な収支項目
収入項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃収入 | メインの収入源 |
| 共益費 | 共用部分の管理費 |
| 駐車場収入 | 駐車場がある場合 |
| その他収入 | 自動販売機、看板料など |
支出項目
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 管理費 | 家賃収入の3〜5% |
| 修繕積立金 | 家賃収入の5〜10% |
| 固定資産税・都市計画税 | 物件による |
| 火災保険料 | 年間5〜15万円 |
| ローン返済 | 借入条件による |
| 管理会社への委託費 | 家賃収入の5% |
利回り計算
表面利回り(グロス利回り)
表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
例
- 物件価格:5,000万円
- 年間家賃収入:500万円
- 表面利回り:500万円 ÷ 5,000万円 × 100 = 10%
実質利回り(ネット利回り)
実質利回り = (年間家賃収入 − 経費)÷(物件価格 + 諸費用)× 100
例
- 物件価格:5,000万円
- 諸費用:350万円(物件価格の7%)
- 年間家賃収入:500万円
- 年間経費:100万円
- 実質利回り:(500万円 − 100万円)÷(5,000万円 + 350万円)× 100 = 7.5%
キャッシュフロー計算
年間キャッシュフロー
キャッシュフロー = 家賃収入 − 経費 − ローン返済
例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間家賃収入 | 500万円 |
| 管理費・修繕積立 | ▲50万円 |
| 固定資産税等 | ▲30万円 |
| 火災保険料 | ▲10万円 |
| 管理委託費 | ▲25万円 |
| 営業利益 | 385万円 |
| ローン返済(元利) | ▲250万円 |
| キャッシュフロー | 135万円 |
返済比率
返済比率 = 年間ローン返済額 ÷ 年間家賃収入 × 100
目安:50%以下が健全
例
- 年間家賃収入:500万円
- 年間返済額:250万円
- 返済比率:250万円 ÷ 500万円 × 100 = 50%
10年シミュレーション例
前提条件
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 物件価格 | 5,000万円(建物3,000万円、土地2,000万円) |
| 借入額 | 4,000万円 |
| 金利 | 2.5% |
| 融資期間 | 20年 |
| 表面利回り | 10% |
年次収支予測
| 年 | 家賃収入 | 経費 | 返済 | CF | 減価償却 | 不動産所得 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 500万 | 115万 | 254万 | 131万 | 750万 | ▲365万 |
| 2 | 490万 | 115万 | 254万 | 121万 | 750万 | ▲375万 |
| 3 | 480万 | 115万 | 254万 | 111万 | 750万 | ▲385万 |
| 4 | 470万 | 115万 | 254万 | 101万 | 750万 | ▲395万 |
| 5 | 460万 | 120万 | 254万 | 86万 | 0 | 340万 |
| 6 | 450万 | 120万 | 254万 | 76万 | 0 | 330万 |
| 7 | 445万 | 120万 | 254万 | 71万 | 0 | 325万 |
| 8 | 440万 | 125万 | 254万 | 61万 | 0 | 315万 |
| 9 | 435万 | 125万 | 254万 | 56万 | 0 | 310万 |
| 10 | 430万 | 125万 | 254万 | 51万 | 0 | 305万 |
※4年償却終了後(5年目以降)は不動産所得が黒字化し、税負担が増加
ストレステスト
空室率シナリオ
| シナリオ | 空室率 | 年間CF |
|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 156万円 |
| 標準 | 10% | 131万円 |
| 悲観 | 20% | 81万円 |
| 最悪 | 30% | 31万円 |
金利上昇シナリオ
| シナリオ | 金利 | 年間返済 | 年間CF |
|---|---|---|---|
| 現状 | 2.5% | 254万円 | 131万円 |
| +1% | 3.5% | 279万円 | 106万円 |
| +2% | 4.5% | 304万円 | 81万円 |
事業計画書の書き方
構成
-
投資概要
- 物件情報
- 購入目的
- 投資方針
-
市場分析
- エリアの賃貸需要
- 競合物件の状況
- 将来の見通し
-
収支計画
- 10年間のシミュレーション
- 複数シナリオの検討
-
リスク分析
- 想定されるリスク
- 対応策
-
出口戦略
- 売却時期の目安
- 想定売却価格
作成のポイント
- 保守的な数字で作る:楽観的な予測は避ける
- 根拠を明示:家賃設定、経費見積もりの根拠を説明
- 複数シナリオを用意:悲観シナリオでも返済可能なことを示す
- 見やすいフォーマット:表やグラフを活用
まとめ
- 収支シミュレーションは不動産投資の成否を左右する重要な作業
- 表面利回りだけでなく、実質利回りとキャッシュフローを計算
- 4年償却後の収支変化を必ずシミュレーション
- 空室率上昇・金利上昇のストレステストを実施
- 事業計画書は保守的な数字で、根拠を明示して作成
シミュレーションは物件購入の判断材料であり、融資審査の武器にもなります。時間をかけて丁寧に作成しましょう。


