この記事でわかること

Q. 役員報酬はいくらに設定すべきですか?
A. 一般的に、法人所得と個人所得の税率が均衡する水準に設定するのが最適です。目安として、法人に800万円程度の利益を残し、それ以上は役員報酬として支払うと効率的です。ただし、社会保険料の負担も考慮する必要があります。
Q. 役員報酬は途中で変更できますか?
A. 原則として、事業年度の途中で役員報酬を変更することはできません。変更する場合は、事業年度開始から3ヶ月以内に定時株主総会(または社員総会)で決議する必要があります。途中変更した場合、増額分は損金算入できなくなります。
Q. 役員報酬を0円にすることはできますか?
A. はい、可能です。他に十分な収入がある場合や、法人の利益を留保したい場合は、役員報酬を0円とすることも選択肢です。ただし、社会保険の加入義務がなくなるため、健康保険や年金の手当てを別途考える必要があります。
役員報酬の最適設計|所得分散による節税
法人戦略 公開: 2025.01.15

役員報酬の最適設計|所得分散による節税

役員報酬とは

役員報酬とは、法人が役員(取締役、代表社員など)に支払う報酬のことです。

法人の損金(経費)として処理できるため、法人と個人のバランスを考えた設定が節税のポイントになります。

役員報酬の税務ルール

損金算入の要件

役員報酬を法人の損金として認められるには、以下のいずれかの形式である必要があります。

形式内容
定期同額給与毎月同額を支給
事前確定届出給与事前に届出した金額を支給(賞与等)
業績連動給与利益に連動して支給(上場企業向け)

資産管理会社では、定期同額給与が一般的です。

変更のタイミング

役員報酬の変更は、事業年度開始から3ヶ月以内に行う必要があります。

変更タイミング損金算入
期首から3ヶ月以内全額OK
期中の増額増額分は損金不算入
期中の減額原則OK(一定の理由が必要)

役員報酬の最適額の考え方

法人税と所得税のバランス

項目法人に残す個人に支払う
法人税率800万円以下:約22% / 800万円超:約34%-
所得税率-累進課税(15〜55%)

最適化の基本方針

  • 法人所得800万円までは法人税率が低いため、法人に残す
  • 800万円を超える部分は、役員報酬として支払い、給与所得控除を活用

シミュレーション例

前提:法人の利益が年間1,500万円の場合

パターン1:役員報酬0円

項目金額
法人所得1,500万円
法人税等(概算)約420万円
税金合計約420万円

パターン2:役員報酬700万円

法人

項目金額
法人所得800万円
法人税等(概算)約200万円

個人

項目金額
給与収入700万円
給与所得控除▲180万円
課税所得520万円
所得税・住民税約100万円

合計:約300万円(節税効果:約120万円)

パターン3:役員報酬1,000万円

法人

項目金額
法人所得500万円
法人税等(概算)約120万円

個人

項目金額
給与収入1,000万円
給与所得控除▲195万円
課税所得805万円
所得税・住民税約180万円

合計:約300万円(パターン2と同程度)

社会保険料の考慮

役員報酬を支払う場合、社会保険料が発生することを忘れてはいけません。

社会保険料の負担

保険種別会社負担個人負担合計
健康保険約5%約5%約10%
厚生年金約9%約9%約18%
合計約14%約14%約28%

※標準報酬月額に上限あり(厚生年金は月額65万円が上限)

社会保険料を含めた最適化

役員報酬が高すぎると、社会保険料の負担も増えます。税金と社会保険料の合計で考える必要があります。

役員報酬税金社会保険料(会社+個人)合計負担
500万円約80万円約140万円約220万円
700万円約100万円約180万円約280万円
1,000万円約180万円約220万円約400万円

所得分散による節税

配偶者を役員にする

配偶者を役員にして報酬を支払うことで、所得を分散し、累進税率の影響を抑えられます。

:役員報酬1,000万円を分散

パターン本人配偶者税金合計
本人のみ1,000万円0円約180万円
分散600万円400万円約140万円

節税効果:約40万円

注意点

  • 配偶者が実際に業務に従事している必要がある
  • 過大な報酬は否認されるリスクあり
  • 103万円を超えると配偶者控除が使えなくなる

役員報酬設定の手順

ステップ1:法人利益の予測

今期の不動産所得、経費を予測し、法人利益を見積もる。

ステップ2:税率のシミュレーション

複数の役員報酬パターンで、法人税と所得税の合計を計算。

ステップ3:社会保険料の考慮

社会保険料も含めた総合的な負担を比較。

ステップ4:株主総会・社員総会での決議

期首から3ヶ月以内に役員報酬を決定し、議事録を作成。

まとめ

  • 役員報酬は法人と個人の税負担のバランスで決める
  • 法人所得800万円までは法人に残し、超過分を役員報酬に
  • 社会保険料の負担も考慮して最適額を設定
  • 配偶者への所得分散でさらに節税可能
  • 役員報酬の変更は期首3ヶ月以内に行う

役員報酬の設計は税理士と相談し、毎年見直すことをおすすめします。

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